ABOUT
アポロ11号が月面着陸したその年、白樺荘の講堂は金融機関の保養所の一部として竣工された。その後、中学校の勉学合宿の場として活用され今に至る。1969年と言えば、日本の高度経済成長期の終盤。大量に物品が生産され、消費されていく。建物においても他ならない。白樺荘もRC構造のような重厚な作りではなく、建築技術の発展による効率性を重視した足跡がそこかしこに見える。言葉を選ばずに言えば、リモデルして活用するのには中途半端な造りと言わざるを得ない。しかし、文化的社会を持続していくために、そういう歴史の断片も承継していく責務がある。我々はその活用の仕方として、もともとの建物の躯体の中に、土台組みをし、機能を持つ部屋をやぐらとして組み上げた。50年以上承継された木造建築の中に日本の「間」の概念をデザインした。
学びの場として承継されてきた白樺荘は今、失われてきた文化と培われてきた文明が交差する場となり、先に待つパラダイムの中で、何を削ぎ落とし、何を守るべきなのか、真の心地よさや豊かさと静寂の中で対峙する、新たな学びと気づきの場として生まれ変わった。